無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
屋根裏部屋に布団を敷き寝転がると、窓越しに綺麗な夜空が広がっている。ちょっとしたプラネタリウムのようだ。
春音と手を繋ぎ、空を見上げる。

「春音、寒くないか?」

「うん、平気」

「ほら、こっちに来い」

湊人は春音を抱き寄せた。
腕枕をしてもらいながら観る星空は格別だ。

その時、スーッと星が流れた。

「うわぁっ! 今星が!」

目を輝かせる春音。

『この顔が見たかったんだよ』

どうやらサプライズは成功したようだと、湊人は安堵した。

「春音」

「ん?」

「これはまだ序の口」

「え?」

「これからバンバン流れるからな」

「ホント⁉︎」

湊人は微笑み頷いた。

そして日付が変わる頃、星は輝きを増し、四方八方飛び交った。

「わわわわわっ! また流れた! 凄い! 凄いよ、みっくん、ほら見て! うわぁ!」

流星群よりもキラキラした笑顔。

『どんだけ可愛いんだよ、クソッ!この笑顔は俺だけのものだ』

湊人は腹を括った。

「春音?」

「ん?」

「俺は鷹屋家の人間だけど、地方公務員だから、贅沢をさせてやることはできない。引っ越しだって多い。それでも、俺について来てくれるか? いや、ついて来て欲しい。結婚しよう春音、今すぐ」

「みっくん?」

「ん?」

「私は、鷹屋家の奥さんになるんじゃないわ。みっくんの奥さんになるんだよ。贅沢なんて望んでません。あ、でも、年に一度はこうやってお泊まりして、星を見たいな。末長く、よろしくお願いします」

「ありがとう、春音」

無数の星に見守られながら、優しいキスを交わした。


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