無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
エピローグ
一年後

湊人と入籍した春音は、アートガーデンを退職し、警察官舎に引っ越した。
既に代表を退いている透子は、無事男の子を出産し、家事と育児に奔走中だ。

「じゃあ、行ってくる」

「怪我、しないでね」

「しない。怪我なんかしたら、春音も、この子も守れないからな」

湊人は春音のお腹に優しく触れた。

「妊娠初期は流産しやすいって聞く。春音、絶対無理するなよ。走ったりしちゃダメだぞ。重たい荷物も持たないように。階段の上り下りもゆっくりな。いや、もう外に出るな。外は危険がいっぱいだ」

「うふふっ」

「なんで笑うんだよ?」

「過保護がパワーアップしてるって思って」

「心配なんだから仕方ないだろう?」

「ほら、早く行かなきゃ遅刻するよ」

「あぁそうだった。仕事だった」

「みっくん」

春音は湊人の唇に、チュッとキスをした。

湊人の破顔は春音のエナジーであり宝物だ。

「いってらっしゃい。この子と待ってるね」

「いってきます。パパ働いてくるよぉ〜」

『お腹の中にいるだけでもデレデレなのに、生まれたらどうなっちゃうんだろう。愛が溢れすぎよ』

湊人の真っ直ぐな愛に包まれた春音は、暴君の鎧を脱ぎ捨てた愛する夫を、とびっきりの笑顔で見送った。


                  完






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