無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
同時刻、騒ぎを聞きつけた鷹屋商事副社長、鷹屋潤人は、外の様子を確認しようとホテルエントランスから騒ぎの方へ視線をやった。
オープンカフェ横の歩道で押さえ込まれた男が大声で喚いている。
「湊人!」
その喚き散らす男の手に手錠をかけていたのは、紛れもなく弟の湊人だった。
『何があったんだ?』
そしてすぐ側で、へたり込んでいる春音の姿をを見つけた。
「森川さん!」
潤人は急いで駆け寄った。
「大丈夫かい? 怪我は?」
「副社長……」
潤人の優しい声を聞いた春音の目から一気に涙が溢れ出した。
「すみません。花が、花がぐちゃぐちゃに…… 本当に申し訳ありません。すぐに作り直しますので……」
『こんな時でも自分のことは後回しか。まったくこの娘は』
泣きながら必死に声を振り絞る春音に、潤人の胸が痛んだ。
「いいんだ、心配しなくていい。先ずは怪我の手当だ。ほら、足を怪我しているじゃないか」
ちょうど膝の辺り、グレーのストレッチパンツにじわりと血が滲んでいる。
「でも、お客様が……」
「大丈夫だ」
潤人は胸ポケットからスマホを取り出し、通話ボタンをタップした。
「透子、俺だ。頼んでいたアレンジ、もう一度急いで作ってくれないか? 森川さんが事件に巻き込まれて、配達中のアレンジがめちゃくちゃになってしまったんだ」
「え!事件⁉︎ 外が騒がしかったのはそのせいなのね!って、春音ちゃんが巻き込まれた⁉︎」
「あぁ、怪我をしている。ホテルのクリニックで手当てしてもらうから、後で来てくれるか?」
「ええ、わかったわ。アレンジ、すぐに仕上げて持っていくから、春音ちゃんのことお願いね」
「もちろんだ。すまないが、アレンジ頼んだぞ」
「ええ、任せて」
電話を切った潤人は、
「森川さん、クリニックに行こう」
そう言って、軽々と春音を抱きかかえた。
オープンカフェ横の歩道で押さえ込まれた男が大声で喚いている。
「湊人!」
その喚き散らす男の手に手錠をかけていたのは、紛れもなく弟の湊人だった。
『何があったんだ?』
そしてすぐ側で、へたり込んでいる春音の姿をを見つけた。
「森川さん!」
潤人は急いで駆け寄った。
「大丈夫かい? 怪我は?」
「副社長……」
潤人の優しい声を聞いた春音の目から一気に涙が溢れ出した。
「すみません。花が、花がぐちゃぐちゃに…… 本当に申し訳ありません。すぐに作り直しますので……」
『こんな時でも自分のことは後回しか。まったくこの娘は』
泣きながら必死に声を振り絞る春音に、潤人の胸が痛んだ。
「いいんだ、心配しなくていい。先ずは怪我の手当だ。ほら、足を怪我しているじゃないか」
ちょうど膝の辺り、グレーのストレッチパンツにじわりと血が滲んでいる。
「でも、お客様が……」
「大丈夫だ」
潤人は胸ポケットからスマホを取り出し、通話ボタンをタップした。
「透子、俺だ。頼んでいたアレンジ、もう一度急いで作ってくれないか? 森川さんが事件に巻き込まれて、配達中のアレンジがめちゃくちゃになってしまったんだ」
「え!事件⁉︎ 外が騒がしかったのはそのせいなのね!って、春音ちゃんが巻き込まれた⁉︎」
「あぁ、怪我をしている。ホテルのクリニックで手当てしてもらうから、後で来てくれるか?」
「ええ、わかったわ。アレンジ、すぐに仕上げて持っていくから、春音ちゃんのことお願いね」
「もちろんだ。すまないが、アレンジ頼んだぞ」
「ええ、任せて」
電話を切った潤人は、
「森川さん、クリニックに行こう」
そう言って、軽々と春音を抱きかかえた。