無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
ホテル内に併設されたクリニックに運び込まれた春音は、膝の打撲と擦り傷の治療を受けた。

腫れがひどく、骨折を疑われレントゲンを撮ったのだが、その写真を見ながら女医が言った。

「骨にはヒビも入っていなようですね。完治には少し時間がかかるでしょうけど、生活に支障はないと思います。歩けそう?」

「はい、大丈夫だと思います」

「これからしばらく毎日傷口を消毒しますから、何時でも構わないので来てくださいね。私がいなくても看護師が対処します」

「はい、わかりました。よろしくお願いします」

「先生、彼女をしばらくここで休ませてもよろしいですか?」

「ええ、もちろんです」

「ありがとうございます。後で透子が来るから、それまで横になっておくといい」

「はい、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「何を言っているんだ。そんなこと思わなくていい。とにかく身体を休ませなさい」

「ありがとうございます」

「先生、私は仕事に戻りますので、彼女のこと、よろしくお願いします」

「かしこまりました」

潤人は女医に一礼し、クリニックを後にした。
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