【短】果たして雨宮はアンニュイなのか
幼なじみのあたしに言わせれば、雨宮はミステリアスだのクールだのアンニュイだの……そんな言葉はまるで似合わない。
昔からどちらかといえば感情豊かだし、今もどうせ、本性は元気いっぱいのクソガキだ。
「つまりは高校デビュー大成功ってわけですなあ雨宮よ。まあ、ボロが出ないようにせいぜい頑張るんだよ?」
「言っとけ」
雨宮はすねたように言って、あたしに向けていた目をまた窓の外へとやった。
あたしもつられるように外を見て、ふうっと息を吐く。
「よく降るねぇ」
「梅雨だからな」
「でも毎年思ってたんだけどさ、梅雨入りすると逆にあんま降らない説ない?」
「そうか?」
「ほら覚えてない? 中学のとき、一緒に遊園地行ったじゃん? あれチケット取った日がちょうど梅雨入りした次の日だったの。だけどばっちり晴れてさ」
「……いや、あれ確か昼から大雨になったんだよ」