年下の彼はキャラメルナッツ〜NTR女子は癒しのイケメン男子との縁を再び手繰り寄せる

新天地

沙夜が新居に選んだのは
練馬の端っこにあるURの賃貸マンションだ

いわゆる昔ながらのマンモス団地
最寄り駅が始発でもあり、新宿まで
乗り換えなしで行ける事もあって
マンション自体は、古めながら
いまだに地味に人気があるらしい
礼金ナシ、保証人不要で
急いでいた事もあり即決した
竜一との同棲は、親も公認だったが
それを解消したことを告げると
最初驚いた様子だったが、私がそれ以上
何も言わなかったので、
受け入れるしかないと悟ったようだった

公園を中心として街づくりをしており
実際に住んでみると環境が良いと言うか、
沙夜の住んでいる棟の裏手は
木々が鬱蒼と生え茂り、
足を踏み入れたとたん
森の中に迷い込んだような感じがして
ここが都内だと言うことを一瞬忘れさせる

昨夜典子と話をして、少しスッキリした沙夜は

「(誰かと話すって大事…)」

土曜休みを利用して
コンビニ以外のお店をチェックすべく、
近所を散策してみる事にした

最初にマンションの通用口から、
西側にある
“ローズガーデン”
とネーミングされた庭園に向かって
細い石畳を歩き出す

両脇には
水分を含んでしっとりした土とその上に
天寿を全うしたと思われる死体が
ゴロゴロと転がっていて

セミのだが

驚いて飛び退いた

沙夜は知らなかったのだが
昔、その辺り一帯はグランドハイツと呼ばれ、
米軍の管理下だった土地柄だそうで

「だからあそこは地盤が良いんだ」

などと、わかるようなわからないウンチク?
を祖父が後に披露してくれた
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