雨、時々、恋と猫 〜無自覚なイケメン獣医さんに愛されています〜
第7話:奪われた理由
会社の昼休み。
私は仲の良い同期の華奈と、久し振りに一緒にお弁当を食べていた。彼女はフード以外のペット関連品を扱う第二営業部に所属している。
「佑香、大丈夫だった? 私、吉村さんと佑香が別れたこと知らなくて……。落ち着いて話も聞けずにごめんね」
「大丈夫。華奈が出張してたの知ってるし、気にしないで」
空き会議室で横に並んで座り、それぞれ持参のお弁当を食べている。
「今、美沙が吉村さんと付き合ってるって本当なの?」
「うん」
私の言葉に、華奈が表情を曇らせる。
「佑香。多分美沙は、吉村さんのこと好きでもなんでもないと思う」
「え? どういうこと?」
「総務部に、私と同じ大学の後輩がいたの」
「山下さんだっけ? 彼女、三ヶ月前くらいに辞めちゃったね」
華奈が頷く。
「急に辞めたから、体調不良だと思ってたの。こっちから連絡するのは負担になるかと思って控えてたんだけど、ようやく元気になれたって昨日連絡をくれて……。そしたら、辞めた本当の原因は、美沙に酷い形で彼氏を奪われたショックからだって」
「え……?」
私は驚いて、思わずお箸を落としてしまいそうになった。
「私と、同じ状況だったの?」
「彼女も社内恋愛で、第二営業部のエースだった水上さんと付き合ってて。奪われたって分かった時に、泣きながら美沙を問い詰めたらしいの。そしたら……」