雨、時々、恋と猫 〜無自覚なイケメン獣医さんに愛されています〜
第11話:雨の日のプロポーズ
涼介さんと結ばれた夜から二日後の日曜日。
その日は、初めて会った夜と同じ、絹糸のように細い雨が降っていた。
窓ガラスを濡らす雨粒を見つめながら、ティアラちゃんが運んでくれたこの出会いに感謝する。
私は今、涼介さんが連れて来てくれた創作イタリアンのお店にいた。
このお店もハイエンドなホテルの中にあり、最初はやはり緊張していたけれど、美味しい料理と涼介さんとの楽しい会話で、すぐに気持ちがほぐれていった。
「佑香。大事な話があるんだ」
そう言って、涼介さんが小さな箱をテーブルに置く。青に少しの緑を混ぜたような、独特のブルーが綺麗な箱の中に、美しい光を放つ指輪が入っていた。
「結婚しよう」
その言葉に胸が詰まる。
すぐに目頭が熱くなって、視線の先の涼介さんの顔が涙で滲んだ。
「はい。よろしくお願いします」
私は結局、涼介さんに丁寧語で話してしまう。家の中にいる時は、額や頬に優しいキスをされて……。私はそれにいつもときめいてしまうから、ちっとも罰ゲームにはならなかった。
涼介さんが私の左手をとり、そっと薬指にそれをはめる。
「これからの僕らの人生について、今日、君に約束したい事があるんだ」
「約束?」
首を傾げた私に、涼介さんがうなずく。