私の1ページラブダイアリー
小学五年生

1.ノラボウナ

 それは、小学五年生のこと。

 私、五年四組出席番号二十七番の朋花(仮)は、理科の授業でノラボウナの種を観察しに行った。

「うわー、豆だよ豆!」

「ホントだ、豆じゃん!」

 大親友のさくらんぼ(仮)と一緒にノラボウナのめしべだけ伸びた種を観察していると、周りの男子もわちゃわちゃ種を開けていた。

「これ、食べれんのかな?」

「えー、無理だろー!」

 クラスでも明るいムードメーカー、木崎さん(仮)と内田さん(仮)が種を開けて豆を取り出し、パクッと豆を口に放り込んだ。

 えっ! それ、食べちゃうの⁉

 恋愛対象として、木崎さんが気になっていた私は、観察途中も見ていたのでびっくり。

 豆って美味しいのかな……?

「うえっ、マッズ!」

「そりゃそうだろうな〜」

 やっぱり、豆はまずいらしい。

「朋? おーい、朋ー?」

「はっ! ど、どうしたの?」

「いやぁ、絵が全然描けてなかったからさ」

「あ、今からかーこうっと」

 さくらんぼには木崎さんへの思いを秘密にしている。

 その後、私がもう一度種を取りに行こうとしたら。

「豆ってどこだ?」

 木崎さんが種を探していた。

 多分、さっきのは内田さんに取ってもらったのだろう。

「これだよ、種!」

「え、マジ? ちょっと見せて見せて!」

 そう行って木崎さんは突然ぐいっと近づき、私の手にも触れながら種をじっと見た。

 私は木崎さんの手が触れたことに、ドキッとしちゃったのだ。
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop