社長が私を好き過ぎる
朱莉との再会
「そうそう。来年の新卒にひとり面白い奴がいてさ。本人も乗り気だし採用しようと思ってるんだけど、新卒がひとりなのも可哀想だから何人か新卒の募集かけようと思ってるんだ」
「新卒なんて採用してもうちじゃ育てられないだろ?」
「まあね。できたばっかの会社だし応募があるかもわかんないけど、即戦力で使えそうなのがいたら採用して、面倒は俺がみるよ」
「わかった、お前に任せるよ」
そんな話をしたことも忘れかけた頃、西谷がパソコンに貼りついて珍しく難しい顔をしていたので声をかけた。
「どうした?何か問題か?」
「あー‥‥前に話した新卒採用だよ。想像以上に応募がきちゃってさ。完全に舐めてたわ。内定が出なくて手当たり次第エントリーしてるのが大半なんだけど、魔王目当てのそこそこできそうなのも混ざってるから選別が結構難しくて」
「魔王目当てって、俺のことか?」
「システム業界じゃ知る人ぞ知るって感じでお前は有名だからな。それにこの前サイトに新卒採用のページを追加しただろ?お前の写真をのせたのが評判良かったんだよねー。まあそのせいで無駄にエントリーが増えたんだけど」
なんだそれ‥‥意味がわからん。
「とにかく書類の段階でかなり絞る必要があるんだろ?手伝うよ」
「まじか!助かる!大学のランクと専攻である程度は絞ってあるから、エントリーシートの内容で気になるのだけ残してくれればいいよ」
リクルートの管理画面からエントリーシートの閲覧をする。絞ってこれだけの人数なら確かに大変な作業だ。下から順に内容を確認していく。どれも似たり寄ったりな感じなのだが、たまにマニアックさがにじみ出ている奴が混ざっている。なる程。こいつが魔王目当てか。
「ん?」
やっと要領を掴み始めたところで、なんとなく見覚えのある顔がいた。学生の知り合いはいないはずだし、それが女の子なら尚更だ。
「何?どうかした?」
西谷がパソコン画面を覗いてくる。
「何々?青学の大和朱莉ちゃん?この子がどうしたの?真島のタイプ?」
青学の大和‥‥ああ、あの時の女の子か。
「どうしてこの子がうちの会社に‥‥?」
「何?知ってる子?うーん‥‥プログラミングは習ってるみたいだけど‥‥ほら、この子陸上やってたっぽい。多分推薦で大学入ってるんじゃない?陸上で就職できなくて、まだ内定が出てないのかもね?」
彼女と俺に接点はない。俺が一方的にテレビで彼女を見ただけだ。あの後彼女がどうなったかも知らない。本当にあの10分だけが俺の知る彼女の全てだ。それでも俺にとって彼女は特別だった。彼女がいなければ、今の俺は存在しないのだから。
「新卒なんて採用してもうちじゃ育てられないだろ?」
「まあね。できたばっかの会社だし応募があるかもわかんないけど、即戦力で使えそうなのがいたら採用して、面倒は俺がみるよ」
「わかった、お前に任せるよ」
そんな話をしたことも忘れかけた頃、西谷がパソコンに貼りついて珍しく難しい顔をしていたので声をかけた。
「どうした?何か問題か?」
「あー‥‥前に話した新卒採用だよ。想像以上に応募がきちゃってさ。完全に舐めてたわ。内定が出なくて手当たり次第エントリーしてるのが大半なんだけど、魔王目当てのそこそこできそうなのも混ざってるから選別が結構難しくて」
「魔王目当てって、俺のことか?」
「システム業界じゃ知る人ぞ知るって感じでお前は有名だからな。それにこの前サイトに新卒採用のページを追加しただろ?お前の写真をのせたのが評判良かったんだよねー。まあそのせいで無駄にエントリーが増えたんだけど」
なんだそれ‥‥意味がわからん。
「とにかく書類の段階でかなり絞る必要があるんだろ?手伝うよ」
「まじか!助かる!大学のランクと専攻である程度は絞ってあるから、エントリーシートの内容で気になるのだけ残してくれればいいよ」
リクルートの管理画面からエントリーシートの閲覧をする。絞ってこれだけの人数なら確かに大変な作業だ。下から順に内容を確認していく。どれも似たり寄ったりな感じなのだが、たまにマニアックさがにじみ出ている奴が混ざっている。なる程。こいつが魔王目当てか。
「ん?」
やっと要領を掴み始めたところで、なんとなく見覚えのある顔がいた。学生の知り合いはいないはずだし、それが女の子なら尚更だ。
「何?どうかした?」
西谷がパソコン画面を覗いてくる。
「何々?青学の大和朱莉ちゃん?この子がどうしたの?真島のタイプ?」
青学の大和‥‥ああ、あの時の女の子か。
「どうしてこの子がうちの会社に‥‥?」
「何?知ってる子?うーん‥‥プログラミングは習ってるみたいだけど‥‥ほら、この子陸上やってたっぽい。多分推薦で大学入ってるんじゃない?陸上で就職できなくて、まだ内定が出てないのかもね?」
彼女と俺に接点はない。俺が一方的にテレビで彼女を見ただけだ。あの後彼女がどうなったかも知らない。本当にあの10分だけが俺の知る彼女の全てだ。それでも俺にとって彼女は特別だった。彼女がいなければ、今の俺は存在しないのだから。