社長が私を好き過ぎる
賢者社長、反省する
その日1日寝て過ごしていた大和は、夕食後に新しく用意した部屋に移動した。
午後から来てくれたヘルパーには、その部屋の用意と大和の入浴の介助、食事の用意までしてもらったので、俺の寝室は明日でいいとシーツの交換を断っていた。
他意はない。本当に。絶対にだ。
昨夜一睡もしていなかった俺は、シャワーを浴びて早々にベッドに入った‥‥‥‥
明らかに、いつもと違う。微かに香るシャンプーの匂い。おそらく大和自身の香りと混ざり合ったその匂いは、同じものを使っているはずの俺の匂いとは、完全に別物だった。
無意識に深く吸い込んでいた。それはたまらなくいい匂いで‥‥二度三度と繰り返している内に‥‥俺の下腹部が異常をきたした。
いやいや、それはまずいだろう。ヘルパーは通いなので、今この家には俺と大和しかいないのだ。鍵もかかっていないドア越しで、自分の匂いに興奮した男が欲望のままに己を慰めているとか、不愉快にも程がある。
いや待てよ?このまま放置した場合、万が一俺が欲望を抑えきれなくなったら、大和の身に危険が及ぶのでは?
そんな大義名分のもと、俺は速やかにこの異常事態の収束に取りかかった。
自分の枕に顔を埋め収束活動を行うこと‥‥計3回。あまりに終わりが見えなくて、自分で自分が恐ろしくなった。そして、強烈な『賢者タイム』に見舞われる。
なにが『好きといっても親や兄弟のそれ』だというのか‥‥俺は完全に大和を『女』として認識していた。彼女の匂いに興奮して、年甲斐もなくこんなこと‥‥本当に最低だ。最低過ぎる。
大和に合わせる顔がない‥‥自分のしたことがあまりにも気まず過ぎて、俺は翌朝ヘルパーと入れ替わりに家を出て会社に向かった。
だが、それはそれで大和のことが気になって仕事にならない。
「お前邪魔だから、しばらく家で仕事しろ」
そう言われて西谷に会社を追い出されてしまい、仕方なく家に戻って仕事部屋に籠ることにした。
部屋の外からヘルパーと会話する彼女の声が聞こえる。それだけで安心するのだから、自宅に戻ったのは正解だったのだろう。
俺が引きこもり過ぎたせいか、逆に大和は居心地が悪いと感じているようだった。突然実家に移動すると言い出したかと思ったら、ここで仕事がしたいと西谷に相談したらしい。
なんで!俺がそばにいるのに!西谷なんかに相談したんだ!
かつてない程大和を身近に感じ、教育係の西谷にまで嫉妬する俺は、もう末期症状を迎えていたのだと思う。俺の限界は、もうすぐそこまできていた。
午後から来てくれたヘルパーには、その部屋の用意と大和の入浴の介助、食事の用意までしてもらったので、俺の寝室は明日でいいとシーツの交換を断っていた。
他意はない。本当に。絶対にだ。
昨夜一睡もしていなかった俺は、シャワーを浴びて早々にベッドに入った‥‥‥‥
明らかに、いつもと違う。微かに香るシャンプーの匂い。おそらく大和自身の香りと混ざり合ったその匂いは、同じものを使っているはずの俺の匂いとは、完全に別物だった。
無意識に深く吸い込んでいた。それはたまらなくいい匂いで‥‥二度三度と繰り返している内に‥‥俺の下腹部が異常をきたした。
いやいや、それはまずいだろう。ヘルパーは通いなので、今この家には俺と大和しかいないのだ。鍵もかかっていないドア越しで、自分の匂いに興奮した男が欲望のままに己を慰めているとか、不愉快にも程がある。
いや待てよ?このまま放置した場合、万が一俺が欲望を抑えきれなくなったら、大和の身に危険が及ぶのでは?
そんな大義名分のもと、俺は速やかにこの異常事態の収束に取りかかった。
自分の枕に顔を埋め収束活動を行うこと‥‥計3回。あまりに終わりが見えなくて、自分で自分が恐ろしくなった。そして、強烈な『賢者タイム』に見舞われる。
なにが『好きといっても親や兄弟のそれ』だというのか‥‥俺は完全に大和を『女』として認識していた。彼女の匂いに興奮して、年甲斐もなくこんなこと‥‥本当に最低だ。最低過ぎる。
大和に合わせる顔がない‥‥自分のしたことがあまりにも気まず過ぎて、俺は翌朝ヘルパーと入れ替わりに家を出て会社に向かった。
だが、それはそれで大和のことが気になって仕事にならない。
「お前邪魔だから、しばらく家で仕事しろ」
そう言われて西谷に会社を追い出されてしまい、仕方なく家に戻って仕事部屋に籠ることにした。
部屋の外からヘルパーと会話する彼女の声が聞こえる。それだけで安心するのだから、自宅に戻ったのは正解だったのだろう。
俺が引きこもり過ぎたせいか、逆に大和は居心地が悪いと感じているようだった。突然実家に移動すると言い出したかと思ったら、ここで仕事がしたいと西谷に相談したらしい。
なんで!俺がそばにいるのに!西谷なんかに相談したんだ!
かつてない程大和を身近に感じ、教育係の西谷にまで嫉妬する俺は、もう末期症状を迎えていたのだと思う。俺の限界は、もうすぐそこまできていた。