社長が私を好き過ぎる
変態同期鈴木君
会社に戻って仕事をするという鈴木君とは店の前で解散した。
走る前だし時間も遅かったので食事は軽めに済ませたが、ペースを落として走る。これまでのトレーニングを思えば5キロなんてあっという間だ。とはいえ人通りがあっても都会の夜道は怖いと感じるので、回り道はしないでまっすぐ家を目指す。
朝はいつも早めに家を出て少し長めに走ることにしている。ランニングは運動不足の解消とストレス発散に丁度いい。
もし転職することになったら走って通勤するのは難しくなるかもしれない‥‥その場合、今より早起きしてランニング後に身なりを整えてから電車で通勤しなければいけなくなる。
‥‥‥‥ん?待てよ?むしろそっちが普通じゃないか?シャワールームの有無を会社の必要条件にするのはかなり危険だ。辞めたくなった時に辞めにくくなるじゃないか。危ない。油断するとブラックに染まりきってしまう。
そんなことを考えながら走っていたら家に到着した。時間は既に1時を回っているが、ストレッチとマッサージは欠かせない。シャワーを浴びてすぐに布団に入れば、6時間は眠れる。今の会社はフレックスタイム制なところも都合がいい。
ブラックといいつつも私は今の生活が結構気に入っているらしい。
『私はやれる、まだ頑張れる』‥‥まじない代わりにいつもの言葉を頭の中に浮かべて目をつぶれば、すぐに眠気がやってきた。
翌日、いつも通りに出社して仕事をしていたら、少ししてから鈴木君がやってきた。昨夜匂いを嗅ぎたいから隣りに座ると聞かされたせいで、思わず眉間に皺が寄る。
「やっぱり違う」
鈴木君が難しい顔をして頭をひねっている。
「え?何?どうかした?」
「匂いだよ。昨日シャワー浴びたけど、大和さんの匂いとは全然違うんだ」
そう言いながら鈴木君が顔を寄せて私の匂いを嗅いでくる。
「ちょっと、やめてよ!」
「だって、ほら!ちょっと嗅いでみて?」
鈴木君が自分の頭を私の鼻先に押し付けてきた。シャワーを浴びて着替えたらしい鈴木君は臭くはないが、そういう問題ではない。匂いを嗅ぐのも嗅がれるのも不愉快だ。私にそんな趣味はない。でも‥‥
「あれ?本当だ。匂いが違う‥‥?」
「でしょ?なんか安っぽい匂いなんだよ。まー大和さんがいい匂いだから別にいいけど」
確かに私の方が高級感のある匂いかもしれない‥‥だからって匂いを嗅がれるのは嫌過ぎる。
「鈴木、ちょっといいか?」
突然声をかけられて振り返るとすぐ後ろに魔王がいた。心なしかいつにも増して不穏な空気が漂っている。多分私の寿命は若干縮んだ。
鈴木君はそのまま社長室に連行されてしまったが、魔王大好き!な彼にとってはそれもご褒美でしかないのだろう。やはり彼は色んな意味で変人だった。
走る前だし時間も遅かったので食事は軽めに済ませたが、ペースを落として走る。これまでのトレーニングを思えば5キロなんてあっという間だ。とはいえ人通りがあっても都会の夜道は怖いと感じるので、回り道はしないでまっすぐ家を目指す。
朝はいつも早めに家を出て少し長めに走ることにしている。ランニングは運動不足の解消とストレス発散に丁度いい。
もし転職することになったら走って通勤するのは難しくなるかもしれない‥‥その場合、今より早起きしてランニング後に身なりを整えてから電車で通勤しなければいけなくなる。
‥‥‥‥ん?待てよ?むしろそっちが普通じゃないか?シャワールームの有無を会社の必要条件にするのはかなり危険だ。辞めたくなった時に辞めにくくなるじゃないか。危ない。油断するとブラックに染まりきってしまう。
そんなことを考えながら走っていたら家に到着した。時間は既に1時を回っているが、ストレッチとマッサージは欠かせない。シャワーを浴びてすぐに布団に入れば、6時間は眠れる。今の会社はフレックスタイム制なところも都合がいい。
ブラックといいつつも私は今の生活が結構気に入っているらしい。
『私はやれる、まだ頑張れる』‥‥まじない代わりにいつもの言葉を頭の中に浮かべて目をつぶれば、すぐに眠気がやってきた。
翌日、いつも通りに出社して仕事をしていたら、少ししてから鈴木君がやってきた。昨夜匂いを嗅ぎたいから隣りに座ると聞かされたせいで、思わず眉間に皺が寄る。
「やっぱり違う」
鈴木君が難しい顔をして頭をひねっている。
「え?何?どうかした?」
「匂いだよ。昨日シャワー浴びたけど、大和さんの匂いとは全然違うんだ」
そう言いながら鈴木君が顔を寄せて私の匂いを嗅いでくる。
「ちょっと、やめてよ!」
「だって、ほら!ちょっと嗅いでみて?」
鈴木君が自分の頭を私の鼻先に押し付けてきた。シャワーを浴びて着替えたらしい鈴木君は臭くはないが、そういう問題ではない。匂いを嗅ぐのも嗅がれるのも不愉快だ。私にそんな趣味はない。でも‥‥
「あれ?本当だ。匂いが違う‥‥?」
「でしょ?なんか安っぽい匂いなんだよ。まー大和さんがいい匂いだから別にいいけど」
確かに私の方が高級感のある匂いかもしれない‥‥だからって匂いを嗅がれるのは嫌過ぎる。
「鈴木、ちょっといいか?」
突然声をかけられて振り返るとすぐ後ろに魔王がいた。心なしかいつにも増して不穏な空気が漂っている。多分私の寿命は若干縮んだ。
鈴木君はそのまま社長室に連行されてしまったが、魔王大好き!な彼にとってはそれもご褒美でしかないのだろう。やはり彼は色んな意味で変人だった。