心を切りとるは身を知る雨
すぐに返事がなくて、手持ち無沙汰に空を見上げる。商店街の中でも、切り雨は閉店時間が早い。日没には程遠いような明るい空が広がっているが、もう夕方だ。しぐれは今日も、閉店間際におじゃましたのだろう。
「実は、あの……、しぐれさんを怒らせてしまって」
ようやく口を開いた未央は、たどたどしくそう言い、消沈するような息をつく。
「怒ってる感じはなかったですよ」
確かに、ずっと欲しかった作品を買ってきたわりには、浮かれた様子はなかったが。しかし、未央がしぐれを怒らせるとは意外だ。
「明日にでも謝りに行きたいと思ってるんですけど……、それもご迷惑な気がして」
「何かあったんですか?」
朝晴がそう尋ねると、未央はいきさつをためらいつつ話してくれた。
思っていたより、深刻な話じゃない。今のしぐれでは、未央の優しさをうまく受け止められなかったのだろう。
「そういうことなら、俺から話をしておきますよ。八坂さんは気にしないでください。しぐれも感情的になることがたまにあるので」
「やっぱり、お会いしない方がいいでしょうか……」
謝罪の機会を与えたくない。そう言ったように聞こえたのかもしれない。彼女は後悔するような悔しさを言葉尻ににじませる。
「実は、あの……、しぐれさんを怒らせてしまって」
ようやく口を開いた未央は、たどたどしくそう言い、消沈するような息をつく。
「怒ってる感じはなかったですよ」
確かに、ずっと欲しかった作品を買ってきたわりには、浮かれた様子はなかったが。しかし、未央がしぐれを怒らせるとは意外だ。
「明日にでも謝りに行きたいと思ってるんですけど……、それもご迷惑な気がして」
「何かあったんですか?」
朝晴がそう尋ねると、未央はいきさつをためらいつつ話してくれた。
思っていたより、深刻な話じゃない。今のしぐれでは、未央の優しさをうまく受け止められなかったのだろう。
「そういうことなら、俺から話をしておきますよ。八坂さんは気にしないでください。しぐれも感情的になることがたまにあるので」
「やっぱり、お会いしない方がいいでしょうか……」
謝罪の機会を与えたくない。そう言ったように聞こえたのかもしれない。彼女は後悔するような悔しさを言葉尻ににじませる。