心を切りとるは身を知る雨
事故から4年が経つ。今さら会っても、以前のような仲のいい恋人同士には戻れないだろう。だけれど、兄として、征也ならしぐれを幸せにしてくれるんじゃないかと希望を持って過ごしてきた。しぐれが彼との決別を決めたなら、何も言うことはないだろう。
「清倉に来たこと、後悔してないならいいよ」
「それはお兄ちゃんでしょ」
「俺は後悔なんてしてないさ」
肩をすくめると、しぐれは意味ありげな目をする。
「切り雨さんに出会えたしね」
「なんだよ、それ」
「私はね、切り雨さんに会えてよかったよ」
どこか吹っ切れたように言う。
「そうか」
「うん、そう。なんでだろうな。あの人は誠実な世界に住んでる感じがするからかな。初めて会ったときから、同じ世界に生きてみたいって、なんか思ったんだよね」
別れた恋人よりも、あこがれる人に出会えたってことだろうか。身も心も美しい人。そういう言葉が似合う未央にあこがれを抱くのは不思議じゃない。
「なんとなくわかるよ」
そう言うと、しぐれは茶化すように言う。
「わかるってなにー?」
「清倉に来たこと、後悔してないならいいよ」
「それはお兄ちゃんでしょ」
「俺は後悔なんてしてないさ」
肩をすくめると、しぐれは意味ありげな目をする。
「切り雨さんに出会えたしね」
「なんだよ、それ」
「私はね、切り雨さんに会えてよかったよ」
どこか吹っ切れたように言う。
「そうか」
「うん、そう。なんでだろうな。あの人は誠実な世界に住んでる感じがするからかな。初めて会ったときから、同じ世界に生きてみたいって、なんか思ったんだよね」
別れた恋人よりも、あこがれる人に出会えたってことだろうか。身も心も美しい人。そういう言葉が似合う未央にあこがれを抱くのは不思議じゃない。
「なんとなくわかるよ」
そう言うと、しぐれは茶化すように言う。
「わかるってなにー?」