心を切りとるは身を知る雨
「未央さんと話がしたくてきたんですよ」
苦笑しながらそう言うと、未央は驚いたようにまばたきをした。
もう何度も、未央に会いに切り雨を訪ねているのに、個人的に会いに来るのは意外だと思われているようだ。どうも、まったく相手にされてないらしい。やはり、しぐれの言う通り、未央には意中の人がいるのかもしれない。
「よかったら、夕食でも一緒に食べませんか?」
「ヨコイさんでもいいですか?」
「商店街にあるステーキ屋の?」
「はい。たまには食べに来てって、ヨコイの奥さんに誘われていて」
「そうなんですか。ご一緒できるなら、ぜひ」
カフェへの誘いは断られているから、今日もむげにされるかと思っていたが、未央はあっさりと承諾した。
これは進展だろうか。朝晴は浮ついた気分になりながら、彼女とともにヨコイへ向かった。
「あら、井沢先生、こんばんは。お久しぶりじゃない?」
ステーキ屋ヨコイに入ると、カウンターから出てきたエプロン姿の奥さんが、にやにやしながら話しかけてくる。
肉の焼ける香ばしい匂いが広がる店内には、少し古びた木製テーブルが並んでいる。庶民的な雰囲気の店だが、味は一流で、朝晴も時折、利用していた。
「ご無沙汰してます」
「未央ちゃんと一緒なんて、珍しいわね」
「珍しいというか、初めてですよ」
苦笑しながらそう言うと、未央は驚いたようにまばたきをした。
もう何度も、未央に会いに切り雨を訪ねているのに、個人的に会いに来るのは意外だと思われているようだ。どうも、まったく相手にされてないらしい。やはり、しぐれの言う通り、未央には意中の人がいるのかもしれない。
「よかったら、夕食でも一緒に食べませんか?」
「ヨコイさんでもいいですか?」
「商店街にあるステーキ屋の?」
「はい。たまには食べに来てって、ヨコイの奥さんに誘われていて」
「そうなんですか。ご一緒できるなら、ぜひ」
カフェへの誘いは断られているから、今日もむげにされるかと思っていたが、未央はあっさりと承諾した。
これは進展だろうか。朝晴は浮ついた気分になりながら、彼女とともにヨコイへ向かった。
「あら、井沢先生、こんばんは。お久しぶりじゃない?」
ステーキ屋ヨコイに入ると、カウンターから出てきたエプロン姿の奥さんが、にやにやしながら話しかけてくる。
肉の焼ける香ばしい匂いが広がる店内には、少し古びた木製テーブルが並んでいる。庶民的な雰囲気の店だが、味は一流で、朝晴も時折、利用していた。
「ご無沙汰してます」
「未央ちゃんと一緒なんて、珍しいわね」
「珍しいというか、初めてですよ」