心を切りとるは身を知る雨
「亡くなったんです。作品をキャンセルしたあとに、交通事故で」
「それじゃあ……」
「前にお話した、事故に遭った知人というのは、文彦さんのことです」
「そうでしたか。いろいろと、おつらかったですね」
文彦が亡くなったと聞かされたとき、未央は何度も自分を責めた。もしあの時、もう少しだけ彼を理解して許していたら、こんな悲劇は起きなかったのではないか。許さないことが罪となって自分にのしかかってくるなんて、別れを決めたときはまったく想像していなかった。
「ほろほろ雨は、友人が彼を想ってデザインしたものなんですよ」
自分たちが穏やかに過ごせた時間を、幼なじみの交流に見立てて、きれいな思い出にしたかった。そう思っていたのに。
「それを未央さんが切り絵にされた?」
「文彦さんは罪滅ぼしで作品が欲しかったのかもしれませんが、心を込めて作ったつもりです。それなのに、キャンセルになってしまって、友人はまた裏切られたような気持ちになってしまいました」
「仕方ありませんよ、それは」
朝晴は同情を顔に浮かべる。
「友人は文彦さんに裏切られたと思ってますが、最後まで彼は裏切ってないと言ってたそうです」
「本当のところはよくわかっていないんですね?」
「それじゃあ……」
「前にお話した、事故に遭った知人というのは、文彦さんのことです」
「そうでしたか。いろいろと、おつらかったですね」
文彦が亡くなったと聞かされたとき、未央は何度も自分を責めた。もしあの時、もう少しだけ彼を理解して許していたら、こんな悲劇は起きなかったのではないか。許さないことが罪となって自分にのしかかってくるなんて、別れを決めたときはまったく想像していなかった。
「ほろほろ雨は、友人が彼を想ってデザインしたものなんですよ」
自分たちが穏やかに過ごせた時間を、幼なじみの交流に見立てて、きれいな思い出にしたかった。そう思っていたのに。
「それを未央さんが切り絵にされた?」
「文彦さんは罪滅ぼしで作品が欲しかったのかもしれませんが、心を込めて作ったつもりです。それなのに、キャンセルになってしまって、友人はまた裏切られたような気持ちになってしまいました」
「仕方ありませんよ、それは」
朝晴は同情を顔に浮かべる。
「友人は文彦さんに裏切られたと思ってますが、最後まで彼は裏切ってないと言ってたそうです」
「本当のところはよくわかっていないんですね?」