心を切りとるは身を知る雨
「なぜ、そう思われるの?」
「未央さんのご友人なら、そういう方かなと」
ただの印象で語ったからか、バツの悪そうな表情で、彼は髪をかきあげる。
「……どうでしょうか」
財前家を継ぐ文彦を支えたいとは思っていたが、婚約者として対等で、どちらかがもたれかかるような関係ではなかったように思う。
「その、ご友人ですが……、ほろほろ雨が、もし彼の手に渡っていたら、そのときはやり直したいと思ってたんでしょうか?」
朝晴は深入りするのを恥じるような表情でおずおずと尋ねてくるが、未央はそっと首を振って微笑む。
「いくらやり直したいと言われても、別の女の人に心惹かれていた時点で、友人の好きだった彼は死んだんです。それに気づいたときが恋の終わりかもしれないですね」
「そうですか。それじゃあ、別れてよかったんですよ。……って、余計なお世話ですね」
「私も、よかったって思ってますから」
まだ完全には吹っ切れていないかもしれない。けれど、どこか明るい気持ちになって、そう言うと、未央もようやく、ステーキにナイフを入れる。
「あの、未央さん」
「はい。何か?」
首をかしげると、朝晴は思い切ったように言う。
「月末、代休があるんですよ。よかったら、一緒に出かけませんか?」
「未央さんのご友人なら、そういう方かなと」
ただの印象で語ったからか、バツの悪そうな表情で、彼は髪をかきあげる。
「……どうでしょうか」
財前家を継ぐ文彦を支えたいとは思っていたが、婚約者として対等で、どちらかがもたれかかるような関係ではなかったように思う。
「その、ご友人ですが……、ほろほろ雨が、もし彼の手に渡っていたら、そのときはやり直したいと思ってたんでしょうか?」
朝晴は深入りするのを恥じるような表情でおずおずと尋ねてくるが、未央はそっと首を振って微笑む。
「いくらやり直したいと言われても、別の女の人に心惹かれていた時点で、友人の好きだった彼は死んだんです。それに気づいたときが恋の終わりかもしれないですね」
「そうですか。それじゃあ、別れてよかったんですよ。……って、余計なお世話ですね」
「私も、よかったって思ってますから」
まだ完全には吹っ切れていないかもしれない。けれど、どこか明るい気持ちになって、そう言うと、未央もようやく、ステーキにナイフを入れる。
「あの、未央さん」
「はい。何か?」
首をかしげると、朝晴は思い切ったように言う。
「月末、代休があるんですよ。よかったら、一緒に出かけませんか?」