心を切りとるは身を知る雨
*
体育祭の代休の今日、清倉展望台の入り口には、中学生の姿がちらほらとあった。朝晴を見つけて元気よくあいさつする子もいれば、こちらをちらちら見ながらうわさ話しているグループもいる。
中には、「先生の彼女?」と大胆に話しかけてくる女の子もいて、未央は微笑ましいような恥ずかしいような気分になってしまう。
「井沢先生は人気がありますね」
「比較的、若い先生が少ないですからね。話しかけやすいんでしょう」
「こんなにも生徒たちがいるって思わなかったので、ほかの場所でもかまいませんよ」
「いえ。未央さんと展望台に来たかったんです」
きっぱりと答えた朝晴は、思春期の学生たちの好奇心など気にせず、平然と遊歩道を登っていく。
まだまだ暑い日が続いているが、展望台に近づくにつれて、秋を予感させる涼しい風が吹き、季節の変わり目を感じさせる。
常に季節は形を変えながら過ぎ去っていく。もう、文彦にこだわる必要はない。文彦を失わなければ、朝晴とは出会わなかった。朝晴と一緒にいると、新しい季節を受け入れていいのだと思える。
「つきましたね。思ったより、展望台は人がいないんだなぁ」
学生たちも、入り口にある売店や、途中の公園で遊ぶだけで、展望台までは登らないのかもしれない。平日でもあるし、朝晴の言う通り、見晴らしのいい場所に数組のカップルの姿があるだけだった。
「あそこのベンチ、空いてますね」
体育祭の代休の今日、清倉展望台の入り口には、中学生の姿がちらほらとあった。朝晴を見つけて元気よくあいさつする子もいれば、こちらをちらちら見ながらうわさ話しているグループもいる。
中には、「先生の彼女?」と大胆に話しかけてくる女の子もいて、未央は微笑ましいような恥ずかしいような気分になってしまう。
「井沢先生は人気がありますね」
「比較的、若い先生が少ないですからね。話しかけやすいんでしょう」
「こんなにも生徒たちがいるって思わなかったので、ほかの場所でもかまいませんよ」
「いえ。未央さんと展望台に来たかったんです」
きっぱりと答えた朝晴は、思春期の学生たちの好奇心など気にせず、平然と遊歩道を登っていく。
まだまだ暑い日が続いているが、展望台に近づくにつれて、秋を予感させる涼しい風が吹き、季節の変わり目を感じさせる。
常に季節は形を変えながら過ぎ去っていく。もう、文彦にこだわる必要はない。文彦を失わなければ、朝晴とは出会わなかった。朝晴と一緒にいると、新しい季節を受け入れていいのだと思える。
「つきましたね。思ったより、展望台は人がいないんだなぁ」
学生たちも、入り口にある売店や、途中の公園で遊ぶだけで、展望台までは登らないのかもしれない。平日でもあるし、朝晴の言う通り、見晴らしのいい場所に数組のカップルの姿があるだけだった。
「あそこのベンチ、空いてますね」