甘い初恋を、もう一度
いつも横取りするイトコ
(はぁ、疲れた)
オフィスビルを一歩出たところで、ため息が出る。
特に今日は昼食も食べず働いていたので、もうクタクタだった。
急に無茶ぶりな仕事を押し付けられて、先程ようやく片付いた所だったのだ。
携帯を取り出してみると、時刻は二十一時を回っている。相変わらず何の通知も無い携帯を見ると、さっきよりも大きなため息が漏れる。
実はつい先日、私は彼氏と別れてしまった。
彼は社内の人だったので、残業していると『おつかれさま』というメッセージを毎回送ってくれていた。それが無くなったことに、やはり寂しさがこみ上げてくる。
まぁ一人だし、適当にコンビニでも寄って帰るか。
そう思いながら駅までの道を歩いていた、その時だった。
(あ……)
雑踏に紛れた人影を見て、さっと顔を伏せて早歩きで駆け抜ける。
角を曲がった所で立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
その瞬間『そういうことか』と妙に納得してしまった。
そこには私、石倉花月の同僚で同期、それに元彼である小野原諒弥の姿。と、寄り添い隣を歩く女性の姿。
黒のロングヘアで姿勢よく歩く姿は見間違えるはずはない。
その女性は私の同僚であり、イトコでもある一歳下の長森実鈴だった。
オフィスビルを一歩出たところで、ため息が出る。
特に今日は昼食も食べず働いていたので、もうクタクタだった。
急に無茶ぶりな仕事を押し付けられて、先程ようやく片付いた所だったのだ。
携帯を取り出してみると、時刻は二十一時を回っている。相変わらず何の通知も無い携帯を見ると、さっきよりも大きなため息が漏れる。
実はつい先日、私は彼氏と別れてしまった。
彼は社内の人だったので、残業していると『おつかれさま』というメッセージを毎回送ってくれていた。それが無くなったことに、やはり寂しさがこみ上げてくる。
まぁ一人だし、適当にコンビニでも寄って帰るか。
そう思いながら駅までの道を歩いていた、その時だった。
(あ……)
雑踏に紛れた人影を見て、さっと顔を伏せて早歩きで駆け抜ける。
角を曲がった所で立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
その瞬間『そういうことか』と妙に納得してしまった。
そこには私、石倉花月の同僚で同期、それに元彼である小野原諒弥の姿。と、寄り添い隣を歩く女性の姿。
黒のロングヘアで姿勢よく歩く姿は見間違えるはずはない。
その女性は私の同僚であり、イトコでもある一歳下の長森実鈴だった。
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