甘い初恋を、もう一度

そして少しだけ注いだカシスの上から、冷蔵庫を開けてオレンジジュースを注いでいく。
クルっとマドラーで混ぜると、ほんのりとオレンジに紫がかった色になった。
それは夕焼け空を凝縮させたような、綺麗な色をしていた。

「皓大君、できるまでこれ飲んでてー!」
そして私に運ぶように促した。私はグラスを持って、皓大君の席に向かった。

皓大君はお礼を言って受け取ると、チビチビと飲み始めた。

「お酒って美味しいの?」
「うーん、ビールはまだわからないけど、甘いカクテルは好きだよ」

確かに甘いものが好きな皓大君らしいなと、頬が緩んだ。
そんな私を見て、皓大君はグラスを傾ける。
ふと厨房の方を振り返ると、父は裏の大きな冷蔵庫に行くのか厨房を出ていくのが見えた。

店には私と二人だけ。だったら今しかない、と覚悟を決めた。


「……あの、皓大君」
「何?」
「あのね、えっと……」

いざ言おうとなっても、言葉に詰まって視線が泳ぐ。

「花月は可愛いよね」
「へ?」
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