甘い初恋を、もう一度
いくら祖父と母が仲が悪くても、何故か社長と両親は交流があって、店の一番の常連さんだった。
時折プライベートで交流があるぐらい仲が良くて、私がスガヤフーズに入社しようとしたのも、社長の人柄に惹かれて『この人の元で働きたい!』と、ずっと思っていたからだった。

だから実力で入社試験を突破した。大企業では無いが『製菓の製造においてはトップクラスの品質』と名高く、その道の人が憧れる企業に、一切コネを使わずに、実力で入社したのだ。
最後の役員面接で、口をあんぐり開けた社長の顔は今でも覚えている。

一方実鈴は、ある程度まで実力で進んでいたらしいが……最後は『元祖父の派閥』の口添えがあったと耳にした。
元々頭は良い子なので、実力で入社できる程の力はあるだろう。
だけども彼女の強い後ろ楯に、むしろ"嫌われている"側にいる私は敵うことはないのだ。


「それでなんだけど、この前の三光デパートの会食の件なんだけど」
「あ、はい。翌日無事に提出できましたので、発売は問題なく行えるかと思います」
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