甘い初恋を、もう一度
「それってさぁ、いつ提出して欲しいって言われてたの?」
「えっと、正確にはわからないですが……二日ぐらい前ですかね。製造部の抜き打ち検査が二週間前だったらしいですが、私は同席していなかったので担当者もわからないんです。すいません」
「そういえば三光デパートの人たちにお土産を用意したよね?その手配やってるよね?」
「あぁでも私は選んだだけで、実際のやり取りは長森さんがやってます」
「……なるほど、ありがとう。もう戻って良いよ」

社長はそこまで聞くと席を立つ。そして皓大君と二人で、私をエレベーターまで送ってくれた。

「花月ちゃん、いや石倉さん。君は大分頑張っているみたいだね」
「いえいえ、そんな恐れ入ります」
「何かごめんね。長森さんはどうも変な方向に甘い人だから……私は頑張ってる子が、一番好きだからね。石倉さん」

エレベーターに乗る間際、そう言って社長は微笑んだ。
その気持ちだけでも、私は十分だ。


(よし、頑張ろう!)
気合いを入れて、自分の業務に戻ることにした。

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