甘い初恋を、もう一度
実鈴が私のものを横取りしようとするのは、正直日常茶飯だった。一方的に言い掛かりを付けられ、持ち前の要領の良さを発揮し、先回りして奪っていくのだ。

だけども流石に、彼氏を横取りする神経はどうなっているのだろう。確かに彼女が彼を狙っているのだろうな、とは思っていたのだけれど。


──確かに数カ月前、彼女から聞かれたのだ
『ねぇ、小野原さんと付き合ってるって本当?』と。何とかして言葉を濁そうとしたの、だが。


「小野原さんが花月と付き合ってるって聞いたんだけど」
ここまで言われると、さすがに首を縦に振るしかなかった。


「小野原さん人気だわよねぇ、イケメンだし、いい大学出ているし……それに小野原さんのお父様はおじいさまと仲が良かったって聞いたわ」
「……そうね」
「おじいさまに嫌われているあなたと、上手く行かないと思うけれど?」

そうニヤニヤした顔を浮かべる彼女に、愛想笑いを浮かべてやり過ごした。


そこからだ。実鈴のめんどくさい攻撃が始まったのが。
その後すぐ、新企画として私が進めようとしていた企画を実鈴が盗み、先に発表したせいで新プロジェクトは実鈴の手柄になってしまった。
< 2 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop