甘い初恋を、もう一度
自惚れた末路
そのまま何事も無かったかのように仕事をこなしていると、もう定時間際になっていた。そろそろ終わりにするかと休憩スペースでお茶を飲んでいると、帰社した実鈴に遭遇してしまう。
「お疲れさまです」
そう言ってさっさと行こうとしたが、見事に捕まってしまった。
「はーもう疲れたよ~。でもほら、私が行かないわけには行かないじゃん。だからさー仕方ないんだよー」
然り気無くマウントを取ってくるのは、もはや尊敬に値する。
「製造の人たちってやっぱりめんどくさーい。でも今日一緒だった代理店の人は超優しくてイケメンだったの!それで今度食事どうですかって誘われちゃって。花月もどう?あ、彼氏が居るんだっけか?」
ニヤニヤしながら私を見つめる実鈴。
きっと彼女は「彼氏と別れた」っていう言葉を言わせたいのだろう。
それで残念だねぇ~なんて言いながら、心の奥底ではほくそ笑みたいのだろう。
「でもさ、君も"彼氏"が居るのに、食事に行っていいのかい?」
声がする方向に振り向くと、皓大君が立っていた。
その後ろには諒弥こと経理部の小野原さん。彼はいつもの物腰柔らかな表情ではなく、視線があちこちに泳いでオドオドしているみたいだ。
「長森さん、私が彼を連れて来た意味わかるよね?」
実鈴は顔から血の気が引き、唇が真っ青。
そしてそのまま、なぜか現れた実鈴の父──つまり叔父さん と共に、連れて行かれてしまった。
「お疲れさまです」
そう言ってさっさと行こうとしたが、見事に捕まってしまった。
「はーもう疲れたよ~。でもほら、私が行かないわけには行かないじゃん。だからさー仕方ないんだよー」
然り気無くマウントを取ってくるのは、もはや尊敬に値する。
「製造の人たちってやっぱりめんどくさーい。でも今日一緒だった代理店の人は超優しくてイケメンだったの!それで今度食事どうですかって誘われちゃって。花月もどう?あ、彼氏が居るんだっけか?」
ニヤニヤしながら私を見つめる実鈴。
きっと彼女は「彼氏と別れた」っていう言葉を言わせたいのだろう。
それで残念だねぇ~なんて言いながら、心の奥底ではほくそ笑みたいのだろう。
「でもさ、君も"彼氏"が居るのに、食事に行っていいのかい?」
声がする方向に振り向くと、皓大君が立っていた。
その後ろには諒弥こと経理部の小野原さん。彼はいつもの物腰柔らかな表情ではなく、視線があちこちに泳いでオドオドしているみたいだ。
「長森さん、私が彼を連れて来た意味わかるよね?」
実鈴は顔から血の気が引き、唇が真っ青。
そしてそのまま、なぜか現れた実鈴の父──つまり叔父さん と共に、連れて行かれてしまった。