甘い初恋を、もう一度
「結論から言うと、花月は三光デパートの企画代表に昇格させる。実鈴は一応長森さんの影響力を考えて、転籍からの休職扱いにはなるんだけど、実質もう会社から追い出されたと言っていい。おじさんが引き取って行ったよ。それで小野原君は、彼の父親が望んだこともあり懲戒免職。僻地で肉体労働してもらうって」
えっ、と驚きを隠せない。
何でそんな、急展開になるのかと。
「今日、社長の聞き取りがあったよね?」
「はい」
「実はこの前の三光デパートの会食の金額が合わないんじゃないかって、経理から内部告発があったんだよね。実際行った人数の金額よりも多い気がするって。小野原君は"キャンセル料も含めて"と主張しているけど、なーんか怪しくてさ」
「それで、結局どうなってました?」
「やっぱりキャンセル料はかかってなかったんだ。二人キャンセルは、前日より前に入っていたからかからないって」
「えー」
「それでね。その次の日に、うちの会社の社員が訪れているらしいよ?『前日分とまとめて領収書切ってください』って」
「そんな……」
まさかその訪れた二人、というのは。
「諒弥と実鈴が、次の日会社の金で食事したと」
「まぁそういうことだ」
そんな大胆な行動に出るなんて、と開いた口が塞がらない。