甘い初恋を、もう一度

そして微妙にめんどくさい仕事をさり気なく押し付けてきて、仕事量が格段に増えていた。

『これは信用している石倉さんにしていただきたいんです』
なんで微妙に私に花を持たせようとする言い方を周りにもしていたことで、私も他の人の視線があり断るに断れず……

そして忙しく仕事をしていると、ついに諒弥から振られてしまった。
何となく会えないうちに、気持ちが冷めてしまったと言われてしまったのだ。



結局、また私は実鈴に取られてしまったのか。
なんて落胆しながら、がっくりと肩を落としていた。


「花月？！」
不意に名前を呼ばれて驚く。振り向くとそこには、よく知る人が立っていた。

「皓大君……いや、須賀さん」
私はペコリと頭を下げる。

彼は私の会社の御曹司。私の働く会社“株式会社スガヤ製菓”の現社長の息子であり、現在社長の秘書として働く須賀皓大(すがこうだい)。
私より三歳年上の二十八歳で、実は昔から彼とは面識があった。
だけど大学の途中から彼は留学し、現地の大学で博士号を取得。しばらく現地で勤めていたが、つい先月帰国し社長秘書として勤務することになったのだ。