甘い初恋を、もう一度
まぁ正直実鈴が行ってたのなら腹は立つが、行っていないので痛み分けといったところだろう。
値段を見ると一生食べることができないぐらいのお値段だったので、非常に悔やまれるのだけれど。


「久しぶりに、花月と食事ができると思ったのになぁー」
「あの、接待じゃないですか」
「まぁそうだけどねー」

じーっと見つめる彼から、思わず視線を反らしてしまう。
何だか沈黙が怖い。

「三光デパートの人たちが『息子の見合い相手の候補』として私達が挙がってるっている噂ですけどね。若い私達が絶好の的だと。私が呼ばれた理由が何かおかしいなとは思っていたんですよねぇ」

沈黙が怖くて自虐的なことを言ってみせた。

「正直実鈴は向こうで引き取ってもらうことを願いたいね」

皓大君は笑ってくれるのかと思いきや、眉間に皺を寄せて、邪険そうな表情を浮かべている。


「あの小野原君って、元役員だった小野原さんの息子だよね?」
「あ、はい。そうみたいです」
「何であんな奴が良かったわけ?」
「まぁ優しいですし、そこそこ人気ありますよ。彼」
「でもさー実力でここに入った花月に失礼じゃないの?」

そう言われても……と返答に迷い、言葉が詰まる。

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