甘い初恋を、もう一度
首をぶんぶん横に降る。
ちらっと見た皓大君は、失笑したような顔で私を見ていた。
すると「おまたせいたしました」とカクテルが運ばれてくる。
小さなお洒落なグラスに入った、カシスオレンジだ。
彼はグラスを手にとって、豪快にゴクリと飲む。ネクタイを少し緩めた首から、喉仏が震える様子がはっきりとわかった。
「飲む?」
「いや、いいです……」
いたたまれない気持ちになって、視線を背けた。
すると彼は手を私に伸ばしたかと思えば──私の顎をクイッと掴んだ。
そのまま彼の顔が近づいてきて、唇同士が触れ合う。
キスを、されたのだ。
軽く啄むようなキスが終わると、彼は私の耳元で囁く。
「思い出した?」
彼の声が頭に染み渡る。
恥ずかしくて──空腹でお酒を飲んで酔いが回ったから余計なのか、顔が沸騰したように熱い。
「ね、どう?」
また私の顔に手を伸ばして顎を持ち上げると、無理矢理視線を顔に向けさせる。
彼の綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。
もう一度彼は瞳を閉じると、私の顔に近付ける。
そして唇同士がまた触れ合う。次は唇の優しい感触の隙間から、じっとりと熱い舌が割り入ってくる。
絡まり合う感覚が気持ち良くて、熱に全てが溶かされそうだ。