甘い初恋を、もう一度
甘くて苦い初恋


──私が皓大君と出会ったのは、もうずっと前のこと。

皓大君のお父さん、つまり私の勤める会社の社長は、私の実家であり両親がパティシエをするお店の常連さんだった。
元々私の祖父が先代の社長の時から働いていて、その縁で知り合ったらしい。

幼い頃から私は、彼に憧れを持っていた。
クールでかっこいい佇まいは昔からで、スイーツを美味しそうに、尚且つ綺麗な仕草で食べる姿がすごく当時から印象的だった。
それに私にも気さくに話しかけてくれて、両親もすごく可愛がっていた。

だけど三歳差、特に幼い頃のこの年齢差はとてつもなく大きな壁に思っていた。
皓大君は可愛がってはくれてたんだろうけど……きっと妹的な扱いでそれ以上望んではいけないと、心に蓋をしていた。


そして私が十七歳の時、二十歳になった皓大君の海外留学が決まった。
まだ高校生だった私にとって、大学の海外留学なんて未知の世界すぎた。
しかも話を聞くと、卒業しても暫く戻ってくる気はない。いやむしろ皓大君のお父さん──つまり社長 は、しばらく現地で修業を積んでから戻って来させるつもりで、何なら向こうで成功したなら戻って来なくてもいい。そういうスタンスだった。
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