冷酷弁護士の溺愛~お見合い相手は、私の許せない男でした~
「病める時も健やかなる時も、これを愛し、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
荘厳なチャペルの中に差し込む光が、二人を優しく包み込む。
これまで親類や友人の結婚式で何度も聞いたその言葉に自分が答える日が来るなんて、玲はまだ信じられない気持ちだった。
こちらを向いて微笑む男を見ても、まだ。
(私、本当に彼と結婚するのね……)
指輪を交換し、唇が額に下りてくる。
唇でないのは、花嫁の父らしからぬ顔でこちらを睨んでいる玲の父への、一応の配慮でもあった。
「……こら、なに考えてるの」
亮介は玲にしか聞こえない声で、可笑しそうにそう言った。
楽しそうな新郎の笑顔。こんな輝くような笑顔を自分に見せてくれるのかと、玲は嬉しくなる。
「信じられないな、と思ってました」
「神様の前でそんなこと言う?」
亮介はまたくすくすと笑っている。
花びらの舞う中、おめでとう、と祝福を送られながら、二人でバージンロードを進む。
玲は、涙ぐむ結愛と明るく笑う萌に向けて、手を振った。