冷酷弁護士の溺愛~お見合い相手は、私の許せない男でした~


「おはよう」

 玲が寝室を出ると、昨晩の気だるさを残した亮介がコーヒーを入れている。
 もう昼近い。昨日は疲れて、ぐっすりと寝てしまったのだ。

「身体は、大丈夫?」

 亮介は近づいてきて、片手で玲の腰を抱く。
 そのまま髪にキスされて、昨晩の余韻を残したその仕草に、玲は蕩けそうになった。

 昨夜は、激流のようだった。
 なのに身体の隅々まで丁寧に愛されて、おかしくなりそうだった。

「亮介、さん……」

 口から出たのが、自分の声ではないような誘惑する女の声で、玲は驚いた。
 彼の目の色が変わる。はぁ、と吐かれた熱い息が、玲の耳を刺激した。

 違うの、ねだるつもりじゃなかったの。
 だが、そう口に出すことはできなかった。自分でも、本当に望んでいるのが何か分かっていたからだ。

「玲……」

 どちらからともなく、引き寄せられるように唇を重ねる。
 それが徐々に激しくなる。
 キスをしながら、亮介が浮かされるように言った。

「あんまに見ないで…君に狂ってる俺を……」

 玲は少し微笑みを浮かべ、うっとりと息を吐いた。
 この悪い人が、私の前ではこんなふうになってしまう。
 そのことに、甘い快楽を覚えながら。
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