極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 私も市場調査を兼ねてインストールしてみたのだが、繋がるまでは少し手間なものの一度繋がってしまえば出来ることは多いのにわかりやすいよう工夫がされているアプリで、使い心地が思ったよりよく、また使用人口が増えていることもあって今ではメインで使っているコミュニケーションツールのひとつとなっている。

 まさにこのインコネとの共同企画をしたいと、アプローチの連絡を入れているほど。

“残念ながら感触はあんまりよくないんだけどね……”

 対面でしか友達登録が出来ないという限った使い方にこだわっているからこそ、我が社のように手広く扱っている企業は敬遠しているのかもしれない。

 
「朱里もやってるんだ」
「なによ、社会人の私がやってたらおかしい?」

 つい脳内が仕事モードに入ってしまっていた私は、不思議そうに言われたその言葉で意識を戻しすぐにムッとして口をへの字に曲げる。

 この程度のことでついムスッとしてしまうのは、まだ亮介との一件を引きずっているからだろう。
 だが私の苛立ちは気にならないのか、彼が気分を害した様子はない。
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