極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 確かに、新しい経験になったことは間違いないが経験豊富になったとは到底言えない。

「折角連絡先も交換したんだしさ、これから俺と色んな経験したら良くない?」

 にこりと微笑みながらそんなことを言われれば、確かにその通りだと思わされる。

「だから、報酬は後払いでいいよ」
「後払い……」
「安心してよ、とんでもない請求はしないから」

 あはは、と笑う彼に戸惑うものの、だが今の私には頷くことしか出来なくておずおずと小さく頷いたのだった。



 どこか食べに行くかと聞かれたものの、その日は疲れていたこともあり解散した。
 タクシーを呼んでくれた光希は、私がタクシーに乗り込むのを確認してからタクシー代だと多すぎるくらいのお金を渡し手早くタクシーの扉を閉めてしまった。
 その金額、三万円。

“私が渡したお金より多い……!”

 その手際のよさに断る隙すら与えられなかった私は、唖然として渡されたお札を見つめる。
 ここから自宅まで五千円もかからない。

 これではどちらが相手を買ったのかわからないと大きなため息を吐いた。

 
「なんて連絡しようかなぁ……」
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