極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 帰宅後はすぐにお風呂へと直行しメイクを落とした私の頭にあるのは、光希へなんて送るかだけだった。
 当初の予定ではむしろ私が払うつもりだったお金を全て払ってくれたのは光希である。となれば、社会人としてお礼は送るべきだろう。

“迷うのは文面よね”

 お金ありがとう? これは何か違う気がする。
 慰めてくれて――、というのも違和感があった。

「そもそも次、あるのよね……?」

 報酬は後払いで、なんて言って渡したお金より多い金額を持たせるくらいだし、もしかすると後日まとめて請求されるのかもしれない。
 それにインコネも交換した。

 彼がヤり捨てするつもりだったのなら連絡先を交換する必要もないし私なんか気遣わず挿入していただろう。
 お金を払ったのは光希だし、満足感を得たのは私。

「ここでお礼すら送らなかったら、私がヤり捨てした側になるんじゃない……!?」

 その事実におののき、そしてそこまで考え亮介のことを完全に忘れていたことに気がついた。


 結婚の約束までした相手のはずなのに。

「あー、お母さんたちになんて言おうかな」
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