極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 婚約者として紹介したその日にまさかこんなことになるなんて。
 言われた言葉はもちろん今でも腹立たしいが、それでも今の今まで忘れていられたのは出会ったばかりの気遣い屋のお陰だろう。

 今日の私は苛立っていたし刺々しかった自覚もあるのに、笑い上戸な彼に釣られ最終的には私も沢山笑った気がする。

 そしてそれすらも彼の気遣いで成り立っていたのだろう。 

「何よ、ちょっと良い男なんだから……」

 じわりと胸の奥が温かくなるのを感じながら、何て打とうか迷いつつ私はスマホ片手に眠りに落ちたのだった。

 ◇◇◇

 企画広報課の仕事は忙しい。
 そもそも我が社はエンジニアの派遣や新システムの開発、ネットワーク環境を顧客に合わせてカスタムし提供するなど、様々なサービスを幅広く取り扱っている。

 そしてそれらの仕事内容を正確に把握し、弊社と契約するメリットを企業向けにアピールする他、実際にそれらを体験できるような企画を立ち上げたり企業説明の出展ブースを管理し担当するのも企画広報課の仕事なのだ。
< 30 / 97 >

この作品をシェア

pagetop