極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 だが迷ってしまったせいで返信が遅れ、遅れたせいで何を打っても言い訳にしか見えず文章を消すばかり。
 遅れた理由を書くと更に言い訳に見え、また文章を消すという繰り返しだった。

“流石に今日こそ送らないと”

 これ以上はまずい。もしこれが取引先なら、信用問題に関わってきてしまう――……

「って、これもビジネスじゃない!?」

 相手の行為に対して報酬を払う約束をしているのだからビジネスだ、と自らが光希に言っていたことを思い出して私の額に冷や汗が滲んだ。
 今まさに光希の信頼を失っているかもしれないと気付き、内心焦る。

 どうしてか、彼から幻滅されたくないとそう思ったのだ。

「これはビジネスメール、ビジネスメール……!」

 言い聞かせるようにしてメッセージを打ち込んでいく。
 ビジネスメールだと割り切ってしまえばそこまで難しいことはなく、私は先日のお礼と遅くなったお詫びをなるべく堅苦しくなりすぎないよう気を付け文章を作り上げた。

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