極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 そして東京駅から約二時間半、京都駅からはタクシーに乗り辿り着いたのはまさしく京都大学だった。

「あり得ない……数時間前はまだ東京にいたのに……」
「ほら、入ってみようよ」

 にこにこと手招きする光希を見て慌てて駆け寄ると、彼は慣れた様子で歩きだした。

「ね、ねぇ、部外者が勝手に入っていいの?」
「まぁ観光客とかもたまに来てたから大丈夫でしょ」

 さらっと告げられたその言い方に小さな引っかかりを覚える。

“その言い方って……”

「もしかして、京大出身、なの?」
「ストレートで院も出たよ」

 私の勘は正しかったようで、光希が京大大学の卒業生だということを知った。

“まさかインコネの代表と知り合いだったりするのかしら”

 その可能性に思わずゴクリと唾を呑む。
 代表のプロフィールは会社概要に載っていたのを確認したが、少なくともそれは光希ではない。
 だが、経歴的には世代は近かったのも確かだった。

「もしかして光希……」
「うん?」

 何か繋がりがあるの、と口から出かけて、慌てて閉じる。
 もし彼と何かしら関係があったとして、そして今この瞬間にそれを確かめられたとしたら。
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