極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
『不器用な朱里のために普通の構内案内をしてあげようかな』なんて言っていた光希は、大学構内を案内がてら色んな思い出話をしてくれた。
 
 インタビューではただ“もっと手軽に”というコンセプトで構築されたシステムだったが、実際はみんなでああでもないこうでもないと相談しながら組み立てたこと。
 それらがまるで少年たちが秘密基地を作るような、そんな錯覚までするほどワクワクとしたということ。
 

 前回のメールでは、御社のサービスをより広めて有名にするお手伝いを、というアピールをした。
 でもこのインコネというアプリは、元々は仲間内で使うという狭い範囲に向けたもの。そしてその『原点』を今も大事に思っているなら、このアピールでは相手は絶対揺れないだろう。

 悩みながらキーボードへと手を伸ばす。
 そう、彼らはきっと今でも秘密基地で遊んでいるのだから。

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