極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 距離を取りたくて後退っていった結果、とうとう私の背中が壁にぶつかりこれ以上彼から逃げられないことを悟る。
 
「だからその、今回は」
「なんで頷いてくんないの? 俺の事まだ好きだろ」

“何なのその自信!?”

 亮介の言葉に愕然としていると、何をどう判断したのか彼が大きくため息を吐いた。

「わーかった、じゃあ結婚してやるよ。今回の企画が成功したら出世間違いなしだし、まぁお前も一応社長令嬢だしな」
「勝手に何言ってんの!?」
「何怒ってんだよ?」
「怒るに決まってるでしょ! バカなことばかり言わないで!!」
「バカだぁ!?」
「痛っ」

 私が拒否するなんて思ってもいなかったのか、苛立った亮介に思い切り腕を掴まれる。
 成人男性の力で思い切り掴まれ、私の手首がギシリと痛んだ。

「離し……」
「何してんの」
「はぁ!? お前誰だよ」
「あ、え?」

 折れそうなくらい強い力で掴まれていた手が無理やり剥がされ、私を背に庇うように亮介と間に割り込んで来た大きな背中。

「光希……?」
「もう大丈夫だよ」

 にこりと向けられる笑みは、何度も見た温かく優しい笑顔。
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