極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
“そもそも実家の場所が群馬……北関東工業地域にあるって言われた時点でピンときてもおかしくないのに”

 勝手に思い込んだのは自分なのに、言うに事欠いて私の前でこんなことを言うなんて。
 
 しかもピークの時間帯は過ぎているとはいえカフェには他の客だっている。
 そんな中、こんな場所でこんなことを言い出す相手と結婚しようという気は流石に失せるというものだ。

「あのさ、結婚のことなんだけど」
 
 一度でもこの人と、なんて夢見た自分を呪いながら口を開いた私だったが、そんな私の言葉を遮るように憤っている亮介も口を開く。

「俺はお前が社長令嬢だっていうから結婚してやろうと思ったんだ。まさかまだ結婚して貰えると思っているのか?」

 ハァッとわざとらしいくらい大きなため息を吐きながら言われたその内容に唖然とした私は最早開いた口が塞がらない。

“というかこの男、どれだけ上から目線なのよ”

「大体、普段はしっかりした女を気取ってるくせに、付き合うってなるとデートも何もかも俺任せの受け身ばっかでつまんないんだよな」

 呆れ口調で重ねられる言葉に呆れたいのはこちらだ。
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