極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 技術開発は光希の会社に一任する予定だし、亮介が突然やってきて自分を担当者にと直談判して来たのだ。
 まぁ、技術開発をやらせろとは一言も言っていないし、直談判した相手は光希ではなく私なのだが。

「弊社の社員が誠に申し訳ございません!」
「本当に俺はそんなことっ」
「社員一人の独断ということでしたら仕方ありませんね。ただ、もちろんそれなりの責任は問うていただけるんですよね?」
「いや、ですからっ」
「黙りなさい! この件は後で営業開発課も交えてしっかりと対応させていただきます」

“うわぁ、亮介、終わったわね”

 想定外の話になり呆然とする亮介が、一縷の望みをかけて私へと視線を送る。きっとフォローが欲しいのだろう。
 もちろん可哀相なくらいに青ざめている亮介には同情するが、当然彼に言われた言葉は忘れていないし助けるつもりもない私はスッと亮介から顔を背けた。

 ガタンと音がし、亮介が膝を突いたことにも気付いたが無視をして光希を見上げると、いつもの穏やかで優しい笑顔の彼と目が合いホッとする。
 
「ならよかった、ではそろそろ会議室へ行きましょうか。ね? 木浦さん」
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