極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
「はい、本日はご足労いただきありがとうございます」

 そうして必死に冷や汗を拭いながら先行し歩く上司の後に続き、私たちも会議室へと向かったのだった。

 ◇◇◇

「じゃあ改めて、シーサイドエルホールディングスとinforsy connectのこれからに乾杯!」

 軽くグラスを持ち上げ口をつける。
 この企画の成功を祈ってと金曜日の仕事終わり、光希に連れてきて貰ったのは都内一等地にあるホテルのディナーだった。

 グラスに注がれたピンクが見目にも可愛いロゼをこくりと口に含むとフルーティーな香りがいっぱいに広がり思わず私の口角が上がった。

「気に入ってくれた?」
「最高!」

 
 亮介というハプニングはあったものの、inforsy connectとの話はうまく進んだ。
 ギリギリまで練り直した私の企画書を見て感心し目を丸くした光希の顔は、今思い出しても嬉しくなるくらいである。
 
 企画は始まったばかりで、きっとまだまだ問題が出るのだろう。だが彼と一緒ならその困難すら楽しみ、そして最前線の私が一番わくわくするようなシステムになるのだとそんな確信が私にはあった。

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