極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 そしてその彼こそが私の次の企画にと考えてアプローチをした会社の実権を握っていたなんて、本当に凄い偶然である。

「本当に奇跡みたいな偶然だったかも。そんな偶然に感謝しなくちゃ」

 ふふ、と笑うと、私の髪を遊んでいた光希がそっと顔を耳元へ近付ける。

「俺、偶然が重なるってことは運命だって思うことにしてるんだよね」
「!」

 甘く囁かれたその言葉に私の頬が一気に熱を持った。


 もし彼との出会いが偶然ではなく運命だったのならば。

“ううん、運命じゃなかったとしても”

 偶然でも運命でも。私が彼と出会えたというのは事実なのだから。

「私、光希が大好き」
「うん、俺も」

 そっと彼と手を繋ぎ、私たちは歩き始めたのだった。
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