極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
「突然どうしたの?」
「こうやってデートに仕事を持ち込んでも怒らないし、然り気無くこうやって一息つくタイミングも作ってくれるし」

 光希が追加で買ってきてくれたコーヒーのおかわりをちびちびと飲みながらそう言うと、相変わらず笑い上戸の彼が小さく吹き出した。

「まぁ、俺もなんだかんだで仕事しちゃってるしお互い様じゃない?」
「それはまぁ、そうなのかもしれないけど」

 初めて会ったあの時も、言われてみれば光希はノートパソコンを開いていた。
 きっとその日も休日返上で仕事をしていたのだろう。

“思えばあの時亮介の言葉に逆上しなかったら、光希を買うなんてやけくそにならなかったし今こうして二人でいることもなかったのよね”

 あの日は散々だったし、本当に傷付いた。
 けれどそれと同時に、光希と出会えたことに感謝しているのも確かだった。

“あのまま亮介と付き合ってたら、こうやって休日に仕事することもなかったんだろうなぁ”

 遊びに行く時はもちろん思い切り遊んだり、のんびりする時はのんびりする。
 だがこうして仕事のことを考えるのも好きな私は、一緒にいながら別のことに集中出来るということの貴重さを理解していた。
 
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