極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
「…………だろ」
「え?」
「さっき、元カレのこと考えてただろ」
「あっ」

 指摘されて初めて気付いたが、確かに光希の言葉に心当たりがあった私は思わず目を見開いてしまった。

“それでこんなことを言い出したってこと?”

 光希の言う通り亮介のことを思い出したのは間違いなく、だがそれは光希と出会えたことに感謝しているからこそ一緒に記憶から出てきたもの。
 その為決して他意などはなかったのだが、私の些細な変化にもよく気付いてくれる彼のことだ。

 表情の変化で敏感に気付いたということなのだろう。

“つまり、嫉妬?”

 その結論に辿り着いた私からも思わず笑いが溢れてしまう。

 どうやら私は想像以上に愛されているらしい。


「ね、もう一回私の心を読んでみてよ」
「え」

 ふふ、と自然に上がる口角を隠すことなくそう伝えると、少し戸惑ったような光希と目が合った。

 そんなところがやっぱり可愛く、愛おしい。

「ヒントは、さっき光希が言ってたこと、かな? 予言的な!」
「へ? え、えぇっと……、あ、二人きりに、なりたい?」
「正解っ」

 私が明るくそう言うと、じわりと彼の頬がほんのり染まる。
 
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