極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 手を繋いだまま研究室に入ろうとする光希に、手を引いたり反対の手で叩いたりして知らせたのだが、私の意図が伝わらなかったのかそのまま入り、そして完全に見られた上に指摘されて私の顔が一気に熱くなる。

 彼が院でもこのゼミに所属していたのなら、顔見知りの後輩がほとんどだろう。

“在学中に起業してるし”

 ならばきっと、今光希もそれなりに羞恥を感じている、と思ったのだが。

「いーだろ、見せびらかしに来たんだよね」
「えっ!?」
「うわぁ、彼女自慢ってことっスかぁ?」
「えっ!!」

 むしろ繋いだ手を見せびらかすように高く持ち上げ振って見せた光希に私は思わず唖然とした。

「いーなぁー! しかも巨にゅ……」
「おい、それは言っちゃダメなやつだろ」
「ふみまへん」

 空いている方の手で後輩の男の子の口をすかさず塞ぎ言葉を止めた光希を見て少し驚く。

“ちゃんと怒ってくれるんだ”

 後輩の男の子の、それも私に対してではなく私を使った光希に対してのからかい含めた冗談の言葉。
 
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