極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 けれどそんな男の子同士ならよくありそうな会話すら止めてしっかり注意してくれる光希に、私は改めて大事にされているのだと実感した。

「そういうとこがフラれた原因じゃない?」
「うわっ、お前ぇ!」
「田中、今のは俺も同感だ」
「光希先輩まで!」

 また、冗談を止めるように遮っても場の雰囲気が重くならずテンポよく会話を紡ぐ彼らは皆楽しそうで、本当に仲が良いのだとそう感じる。
 
 けれど不思議と疎外感はない。

“光希が手を繋いでくれてるからかな?”

 この『内輪』感は、普通なら少し寂しく感じたとしてもおかしくはないのだろうが、手を繋ぎ物理的に輪の中にいるせいなのか彼らの楽しい時間に混ざっているような不思議な感覚だった。

 
「で、紹介してくれないんですかぁ?」
「紹介するために来たんだっつの。彼女は」
「あっ、木浦朱里です! これ、もしよろしければ皆さ……ちょっと光希……」

 突然話を振られてハッとした私は、気付けば何でもお会計を済ませてしまう光希に負けぬよう東京駅で唯一ごり押しでお会計をした手土産を彼らに差し出そうとし――繋いだ手を離してくれない光希をじとりと見る。
 
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