極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 ふふ、と笑いながらそう言うと、光希が目を見開いてこっちを見る。

「だって、あの教授がいなかったらインコネはなかったってことだもの」
「それは……まぁ、確かに?」
「インコネが無かったら光希とも出会えなかったかもだし」
「でも、俺の運命の人は教授じゃなくて朱里がいいんだけど」

 少し拗ねたようにそんな可愛いことを言われ、思わずドキリと心臓が跳ねる。
 どうやら顔も赤くなってしまったのだろう、一瞬きょとんとした光希の顔がすぐにんまりと笑顔になった。

「かーわい」
「ちょ、からかわないでよ」
「可愛い彼女に可愛いって言ってるだけだけど」
「も、もうっ」
「この可愛さは、インコネで――」
「い、インコネで!?」

 重ねられた言葉に愕然とすると、一瞬何かを考え込んだ光希がくすりと笑みを溢す。

「いや、俺だけの独占にしとく」

 そしてそのまま、ちゅ、と額に口付けられた。

「ちょ!!」

 焦って周りを見回すが、流石に土曜日の夕方近いこの時間は人がおらずに安堵の息を吐く。

「もう、ここどこだと思ってるのよ」
「おでこだからいいじゃん」
「そういう問題じゃありません!」
 
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