極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 京都はどうしても高さ制限があるのであまり夜景には期待していなかったのだが、一面が窓になっている部屋からの景色は鴨川が一望出来てとても美しく、思わず感嘆の声を漏らす。

「気に入ったみたいで良かった」

 外の景色に見惚れていると、いつの間にか私の隣に立っていた光希がそっと私の表情を確認するように覗き込んでいた。

「……気に入らない訳ないでしょ」

 なんだか少し気恥ずかしくて、彼から視線を外しながらそう呟くと、どうやら本気で心配していたのか光希が安堵の息を吐く。

「え、そんなに心配してたの?」

 そのことに驚きついそう口にすると、誤魔化すように軽く咳払いした光希が再び口を開いた。

「流石にちょっと気合い入れ過ぎたかなって」
「それは……」

“まぁ、ちょっと驚いたけど”

「初めて会ったときに行ったホテルがラブホテルだったからで」
「いやっ、だってそれはあの時こういうホテル連れてったら」
「確かにドン引いてただろうけど」

 初対面で、しかもあの時は私は光希を買うと言ってカフェを出たのだ。
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