キス魔な副社長は、今日も秘書の唇を貪る。~キスで力を発揮するハイスペ副社長に掴まりました~
1階でエレベーター待ちをしている時、ふと緋山さんは声を上げる。
「そういえば…藤堂さん。確認しておきたいことがあります。…僕のこと、覚えていませんか?」
「…え?」
「ここで出会う前に、何度もお会いしています」
「………」
唐突な問いかけに、思わず固まってしまった。
突然何度も会っている…と言われても。
全く記憶が無い。
「…ごめんなさい、分かりません」
「そうですか…」
「……」
そこまで会話したところで、エレベーターがやってきた。
「…あ、藤堂さん乗って下さい。そういえば僕、受付に用事がありました。では、また」
「あ、え?」
不自然な緋山さんは、足早に受付に向かって歩いて行った。
「………」
エレベーターに乗り込み、考える。
緋山さんのこと……私は知らない。
いつ、どこで会っていたの?
……率直に、恐怖を感じた。